創業:1826年
~マニアに人気のクロノグラフの名ブランド~
1862年、ジュリアン・ギャレットによってスイスのラ・ショー・ド・フォンの地にジュリアン・ギャレット社は設立された。1883年になると、息子のレオンに経営が託され、工場をレオン・ギャレットにしている。その一方アメリカへの進出も早く、1864年になると子会社を設立している。
ギャレットといえばやっぱりクロノのイメージが強く、1910年代から20年代にかけて早くもワンプッシュ・クロノグラフを開発している。これはリューズと同軸上にプッシュボタンがあり、スモールセコンドと30分積算計を文字盤の左右に配する2つ目のクロノグラフである。このタイプはブライトリングが1915年に世界に先駆けて開発しているが、ギャレットも早い時期からクロノグラフに力を注いでいたことがわかる。
30年代になると同社を代表する「フライングオフィサー」を発表する。このクロノグラフは非公式であったがアメリカの海軍航空隊に供給され、40年代から50年代にかけてスイス空軍にも採用されるなど、長きにわたりパイロットたちの高い信頼を集めてきた。特徴は文字盤外周に、世界都市名が描かれたワールドタイム仕様で、12時間計を記した両方向回転ベゼルが装備された点だ。年代によって若干デザインが異なり、初期モデルにはフラットな回転ベゼルが付き、"GALLET"のロゴがすべて大文字で、しかも小さく表記されている。全体から受けるイメージは精悍そのものだ。50年代のこのモデルには、ビィーナスCal.150やランデロンCal.48といった名キャリバーが搭載された。80年代の新しいものは"Gallet"の表記で、ムーブメントはポレオットCal.3133が搭載されている。
同社のクロノグラフはビィーナス、ランデロン、エクセルシオパークからムーブメントの供給を受けていたが、なかでも、小判型のエクセルシオパークCal.42を搭載する40年代製クロノグラフはマニアの間で人気が高い。さらに珍しいところでは、世界最小のクロノムーブで知られるバルジュー69を搭載するモデルも存在した。
残念ながら、最近ではクロノグラフより湾岸戦争などで活躍した「デザートストーム」や「マラソン」「アダナック」の方が有名かも知れない。これらはディスポーザルウォッチのためプラスチックケースに収められており、アメリカやイギリス、カナダ軍に支給された。
「ウオッチ・ア・ゴーゴー No.38」より引用
Calendar